美容師からアーティストへ—偶然が導いた道
瑛音(えいと)の作品を目にすると、そこに広がるのは色彩と装飾の饗宴だ。点と線が絡み合い、まるで旋律を奏でるように画面を満たしている。
しかし、彼が最初からこのような世界を描いていたわけではない。
幼い頃、絵を描くことはあまり好きではなかった。美術の授業でも興味を持てず、兄に頼んで描いてもらった絵がクラスの人気投票で上位に入ることもあったという。
そんな彼が美術の道に進むことになったのは、美容師として働いた後、ヘアメイクの学校でデッサンや色彩造形に触れたことがきっかけだった。
髪を彩ることから、キャンバスを彩ることへ——
美容の世界で培った感覚が、彼のアートにも息づいている。
美しさを生み出す手法は違っても、「表現することの楽しさ」は同じだった。そして、その楽しさが、彼を本格的なアートの世界へと導いていくことになる。
踊る線、響き合う色—瑛音の作品の魅力
瑛音の作品は、ひとつのリズムを持っている。
細かな線が幾重にも重なり、点が躍るように配置され、鮮やかな色彩が画面全体を包み込む。
その光景は、まるで舞踏会のように華やかで、観る者の視線を引き込み、心を躍らせる。
特に彼の作品が持つ「重なり」と「広がり」は独自のものだ。
個々の要素は細部まで緻密に描かれながらも、全体としてはひとつの大きな流れを作り出している。
それはまるで、音楽の旋律のように響き合い、視覚的なハーモニーを生み出しているのだ。
色彩の選び方にも、彼の美的感覚が光る。
鮮烈なコントラストの中にも、緻密なバランスが取られており、決して混沌とすることはない。
むしろ、それぞれの色が互いを引き立て合い、見るたびに新しい発見がある。そして、近くで見ると繊細な筆致が、遠くで見ると大きな構成が、それぞれ異なる魅力を放つのも瑛音の作品ならではだ。
進化する表現—デジタルの可能性
そんな瑛音のアートは、今新たなステージへと広がっている。これまでアクリル絵具を使っていた彼は、近年デジタル制作にも力を入れるようになった。
ペンタブレットを使い、画面の中で自由に線を踊らせる。
技法は変われども、彼の持つ繊細な感覚は変わることがない。むしろ、デジタルならではの表現が加わることで、彼の作品はさらに洗練され、美しさを増している。
最近では、イラストに近いタッチでファッショナブルな女性像を描くことも多い。
柔らかな視線を宿した女性たちは、どこかアンニュイな雰囲気をまといながらも、洗練された装飾の中に溶け込んでいる。
そのスタイルの幅を広げることで、瑛音の作品はさらに多くの人々を惹きつけていくだろう。
彼のアートは、常に進化し続ける。
アナログからデジタルへと変化しながらも、その根底に流れる「美しさへの探求心」は変わらない。
そして、それはこれからも新しい表現を生み出し、観る者を魅了し続けるに違いない。
もし、あなたの部屋に瑛音の作品が飾られていたらどうだろう。
デジタルの滑らかな線、繊細な装飾、そして色彩の響きが、日常に新しいリズムをもたらしてくれるかもしれない。
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瑛音
Eito |
Schedule
Public View
4/19 (sat) 11:00 – 19:00
4/20 (sun) 11:00 – 17:00
2025年3月14日(金) ~ 4月5日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日3月14日(金)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:3月14日(金)18:00-20:00
※3月20日(木)は祝日のため休廊となります。
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F